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主星と伴星の光度差の大きいことから、主星・伴星双方がダイナミックレンジ内にあるように考えてビデオのゲイン等を設定しました。 しかし、高度が低くシンチレーションが大きく伴星の像が不安定であることと、主星も数フレームにわたって増光したことから、出現時刻をより確実に決定しようと考え、ビデオ画像から恒星の光度変化を読み取り、グラフにしてみました。 (ピクセルの輝度合計が0の時は、便宜上ピクセル輝度合計を0.1とし、およそ14等としてグラフ上に記入しています) |
このグラフから、出現時刻について考えます。 |
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出現時刻を求める |
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1.伴星の出現時刻について | ||||
(1) 出現は明瞭 | ||||
それまで背景(SKY)と同じ輝度であったところから、瞬間的に星像が現れている。(図の黄色の点) | ||||
(2) シンチレーションによる星像の乱れの影響 | ||||
シンチレーションによる星像の変化が激しく、伴星のみが見えている205フレームのうち、5フレームが輝度0(背景と同じ)となっている(図のマゼンタの点)。出現と同時に輝度0の状態が起こっていた可能性もある。 ただ、輝度0の状態の見られるフレームが連続することはないことから、 「伴星出現として記録されたフレームより1フレーム前に伴星が出現した可能性が、5/205=2.5%の確率である。」 と考えられる。 |
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2.主星の出現時刻について | ||||
(1) 瞬間的でない出現 | ||||
主星は図中の点緑から青にかけてみられるように、光度が徐々に増加しながら出現している。 | ||||
(2) 光度変化から「出現時刻」を考える | ||||
点「緑」は、伴星の光度変化のうち最大の値を超えていないことから、主星の出現によるものと断定できない。 点「赤」は、明らかに主星の出現によるものと考えることができる。 そこで、点「赤」を主星の出現として記録(報告)することにする。 |
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(3) 以上より | ||||
主星は、点「赤」で出現し、赤から青までの3フレームにわたって、徐々に増光し、元の明るさに戻った。のように記録(報告)する。 |
光度測定の方法 |
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1.各フレームを静止画としてキャプチャーします。
○連続した多数のフレームを再生しながら一度に静止画にすることができる。 ○時刻情報がファイル名に反映される。 など、測定に便利です。 *ただし、ビデオカメラのモニターに表示されるものより1フレーム進んだフレームナンバーが名前につけられるので注意が必要です。 Area61のサイト http://www.area61.net/ なお、これらのファイルは、後述のステライメージで、必要なだけまとめて一度に読み込むことができます。
星像にカーソルを合わせると、星像を中心とした円内の輝度合計からその外側のドーナツ型の部分(背景)の輝度合計を引いたものを求めることができます。更に、基準星(標準星)について測定しておくと、光度の数値を得ることができます。 ここでは、基準星(標準星)の測定を行わず、測定エリア内の輝度の合計を求めました。
3.光度の計算
そこで、光度として計算してみました。 ここでは主星を基準星として扱い、伴星の光度を比較することにします。 (1) 計算式
基準星の輝度(主星出現後のフレームから読み取った輝度合計の平均)を(A) 求めるフレームの星像の輝度合計を(C)として、星像の光度(L)は、ポグソンの式 L=B−2.5log(C/A) で計算できます。
また、測定結果から A=14239.4 と計算されました。 以上を式に代入して求めます。
これは、伴星は光量が小さく、シンチレーションにより光が拡散されて、ピクセルの感度の限界以下となったためではないかと考えています。 今後、ビデオカメラの特性(広量と出力の関係、色による感度の差)などについて調べていきたいと思います。 |