(52)Europa による TYC 0294-00111-1 の食の解析

2011. 3. 5
宮下和久


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千葉県柏市での観測


観測
千葉県柏市の高島英雄氏は、口径20cmのベーカーシュミットとWAT120N+を用いてこの現象を観測し、 大場富士夫氏により解析と報告がなされました。大場氏よりビデオをお送りいただきましたので、解析を行いました。
合成等級でも10.3等級と暗い対象であるため、淡い星像として写っています。


図1 ビデオ撮影された (52)Europa + TYC 0294-00111-1




解析と現象時刻

図2  Light curve obtained from Kashiwa observatory




図3  Event time of disappearance




図4  Event time of appearance



以上の解析より、現象時刻は次のように求められました。
潜入 : 16h37m50.89s +/- 0.16s (UTC)
出現 : 16h38m25.49s +/- 0.25s (UTC)


長野県池田町における観測


観測

長野県北安曇郡池田町において(52)EuropaによるTYC 0294-00111-1の食を観測しました。 現象の30分前頃から薄雲がかかり、対象星の導入に手間取りました。 そして、現象直前の16時37分30秒(UTC)には、ガンマ補正:Hi; 蓄積:2フレーム の、対象星確認用の設定のまま、 観測用の録画を開始しました。しばらくして雲が切れ、対象星が比較的明瞭に見えるようになりましたが、 撮影条件を変えることによる不正確さの発生を避けるために、カメラの設定はそのままにしました。



図5 ビデオ撮影された (52)Europa + TYC 0294-00111-1




薄雲による光の吸収の補正


図6 Limovieによる測定値 (PSF測光)



図6 の光量変化から、薄雲による吸収があったことが読みとれます。 それを補正するために、Limovie(試作版)を用いて、次のように補正をおこないました。

(1) Noise reduction の移動平均(17フレーム)を、比較星(黄色で表示)のみにかける。これにより、ノイズと考えられる比較星の高周波成分を取り除く。
(2) Correction for absorption を適用する。 (図3)



図 7 比較星について移動平均をおこなった。




図 8 比較星を基準として、吸収を補正した。




現象時刻



現象時刻

上記の解析より、現象時刻は次のように求められました。
潜入 : 16h38m15.28s +/- 0.09s (UTC)
出現 : 16h38m42.34s +/- 0.10s (UTC)

減光終了の時刻は、ノイズによる光量値の重なりあるいはゆっくりした減光であると考えられますが、 そのどちらであるのかはわかりません。そこで、Limovieによる計算値よりも大きな誤差を与えてあります。


図9 Event time of disappearance




図10 Event time of appearance