星食観測により発見された重星 SAO79418
2009年11月7日(UTC)の星食ビデオの解析
Jan. 02, 2009
Kazuhisa Miyashita
[English]
IOTAへの重星観測の報告
石田正行氏の観測
2009 Nov 7 at 18h 44m
Star = S79418
Observer = M. Ishida
Telescope = 30.0cm at 135 56 33.6 35 6 22.3
Observation details
Star Mag = 9.13
Event = R D
PA = 265.864
AA = 258.570
l = 0.230
b = -0.142
RV = 0.3617
CCT = -156.21
T1 = 13.70
T2-T1 = -0.43
|
唐崎秀芳氏の観測:
2009 Nov 7 at 18h 52m
Star = S79418
Observer = H. Karasaki
Telescope = 20.0cm at 139 40 1.2 35 44 25.3
Observation details
Star Mag = 9.13
Event = R D
PA = 271.861
AA = 264.566
l = 0.154
b = -0.114
RV = 0.3762
CCT = -161.01
T1 = 54.97
T2-T1 = -0.47
|
ライトカーブと説明
i) Ishida's observation
図 1 石田氏の観測ビデオから得られた光量変化
|
図 2. 3D表示の光量分布から見た星像
|
星食の時刻解析について確認するために石田氏からお送りいただいた11月の星食観測ビデオの解析を行っている中で、
11月7日のSAO79418の星食について、階段状の光量変化が認められた。
ビデオに記録された星像が淡いことから、測光開口部(Aperture)を小さくし、月縁の影響を避けるために、月縁に沿った長方形のバックグラウンド領域を使用した。
ステップ上のフレームでは、小さいながらも比較的はっきりした星像が認められることから、これが重星による光量変化である可能性が高いと考えられた。
ii) Karasaki's observation
Figure 3. 唐崎氏のビデオから得られた光量変化
|
この情報を受けて、唐崎氏も観測ビデオを送ってくださった。暗い星であり、ビデオのバックグラウンドノイズが大きいことから、ビデオ画像に対してガウスフィルターを適用し、ノイズ低減をはかった。その結果、明瞭な階段状の光量変化を得ることができた。
2つの観測から階段状の光量変化が観測されたことから、新しい重星であることが確実となった。
Photometry
i) Ishida's observation
図 4. コンポーネントの等級の計算
|
ii) 唐崎氏の観測
Figure 5. コンポーネントの等級の計算
|
コンポーネントの等級
(合成等級が 9.13等級 であると仮定した場合) |
Ishida Karasaki
Brighter component 9.56 +/- 0.11 9.43 +/- 0.06
Fainter component 10.35 +/- 0.22 10.67 +/- 0.18
|
IOTA コーディネーターより
二つの観測報告をいただき、ありがとうございます。かなりの確かさをもって、新しい重星である、と言えそうです。
OCCULT Ver.4 を使って、離角と位置角の測定をしてみました。結果として、位置角 307.6度、離角 0.21秒角 を得ました。
二つの観測の月縁上の位置角があまり大きくないことから、得られた結果には比較的大きな誤差があるかもしれません。
他の観測があれば、位置決定にたいへん役立つでしょう。この恒星の星食は2010年も続きますが、あまり観測条件はよくありません。
Brian Loade
Brian Loader 氏によるコンポーネントの位置の解析