新しい重星の発見 【SAO92800】 2012年8月8日 (UTC)

Sep. 9, 2012



滋賀県の石田正行さんは、8月9日 01:39 (JST) に観測した SAO92800 (9.37等級)の暗縁出現のビデオを解析し、重星によると見られるステップを見つけました。
回折シミュレーションのフィッティングによる解析の結果は、ほぼ等光度の二つの星が0.115秒の時間差で出現していることを示しており、ステップの形からも明らかに重星による光量変化であると考えられます。 SAO92800 は、ワシントン重星カタログに AG 31 として記載されており、9.8等級の主星から33秒角離れて13.3等星の伴星がある、とされています。 今回見つかった伴星は、主星とほぼ等光度であり、現象の時間差から考えてもたいへん近接した重星であると考えられます。


The catalogue's detail of SAO92800

Catalogue details

 XZ 2918 = SAO 92800
 RA =   2  6 55.4609   PM = 0.00039s
Dec =  14 37 15.965    PM = 0.0022"
 Mv = 9.37, Mb = 9.68, Mr = 9.21    Spectrum A5    Dia: .0001" [Estimated]

Star is the primary of the following pair
Name    Cmpt   Yr1  Yr2: PA1   PA2  :   Sep1   Sep2  :  Mag1  Mag2:     #1      #2  mean
AG   31       1898 1998: 147.0 146.0:  31.400  33.400:  9.82 13.35: S 92800  ------

WDS Discoverer codes
AG   Astronomische Gesellschaft          



Comment from Brian Loader (double star coordinator).


たいへん興味深い観測結果の報告をありがとうございます。9.82+13.35のペアではないことは確実ですから、これは明らかに新たな重星の発見でしょう。
ライトカーブから見て、等光度の重星ですね。これは、SAO92800について私が受け取った最初の観測です。

【原文】
Thank you for the interesting observation of S92800. Obviouly a double,
certainly not the 9.82+13.35 pair, so a clear discovery. It looks that
the two stars are almost the same magnitude.

This is the first observation I have received for S92800.


Light curve





石田氏からお送りいただいたビデオファイルを回折シミュレーションと比較してみた。ノイズや回折の影響ではなく、重星による光量変化であることを明瞭に示している。