Dave Gault氏の “冥王星による2U25370733の食” の観測
Dave Gault(デーヴ・ゴルト シドニー/オーストラリア)氏は、2008年6月22日に起きた”冥王星による恒星(2U25370733)の掩蔽”を観測しました。氏がYoutubeにアップロードされた現象の様子を撮影したビデオを紹介します。また、Gault氏が送ってくださったライトカーブを掲載します。
1.予報
Occultから得られたこの現象の予報は以下のようです。
http://users.tpg.com.au/users/daveg/TNO_events/080622_0_Pluto_summary.html
2.Dave Gault氏による観測
撮影されたビデオは、以下のリンク先より見ることができます。
http://www.youtube.com/watch?v=WruS6own5qc
観測の詳細について、Gault氏はIOTAの掲示板への投稿で以下のように述べています。
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Mon Jun 23, 2008 4:30 am
Pluto POSITIVE from The Blue Mountains AUSTRALIA
今、冥王星による恒星食のビデオ撮影を終えたところです。西オーストラリアの
Blue Mountainにある私の家からは、1分を越える掩蔽を観測することができまし
た。望遠鏡はまだ動いていますので、それらを片付けてからお茶で乾杯!するこ
とにしましょう。詳細のレポートは後ほど!!
DaveGault
AUSTRALIA
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Mon Jun 23, 2008 1:01 pm
Re: Pluto POSITIVE - more detail
ご質問に答えて、追加情報です。
私は2台の望遠鏡とカメラを並べて用いました。
1台は10インチF5のニュートンで、WAT-120Nカメラを取り付け、1.28秒(32フレ
ーム)の蓄積を行いました。時刻は KIWI-OSD (GPS time inserter) により記録し
ました。
他の1台は、8インチのLX90(シュミットカセグレン)です。CCDカメラDSIProに
より、2秒おきに1秒間の露出を行い、FITSファイルに記録しました。
予報は以下です。
http://users.tpg.com.au/users/daveg/TNO_events/080622_0_Pluto_summary.html
今夜FITSの処理を行う予定です。大気の影響を含め113秒ですから、私は掩蔽の
中心にきわめて近い位置にいたことになります。FITSから何か分かるかも知れま
せん。
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また彼は、記録したビデオをYoutubeにて公開しました。
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Tue Jun 24, 2008 7:38 pm
Occultation by Pluto, The Movie...
掩蔽観測者の皆さん、
ビデオをYoutubeにアップロードしました。
ビデオにかけられた圧縮は画像を劣化させていますが、この掩蔽の特徴を見るこ
とができると思います。潜入と出現は信じられないほどゆっくりで、星が永遠に
消えてしまうかと思うほどでした。観測中にリアルタイムで見ていたときは、本
当に驚きました。
ビデオのアドレスは以下です。
http://www.youtube.com/watch?v=WruS6own5qc
ポップコーンとコークはロビーに用意されています。自由に御利用ください... :-)
(↑ ごゆっくりご覧ください、っていう意味ですね。多分。 by 訳者)
Regards
DaveGault
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3.ライトカーブ
図1は、Dave Gault氏がLimovieを用いた解析より得たライトカーブです。
図1 冥王星による掩蔽のライトカーブ
青が冥王星による掩蔽の現象、黄色は比較星の光度変化
Gault氏による解析の説明です。このWeb siteに転記するにあたり、どの図を示すかを分かりやすくするために原文(Gault氏よりのメール)を一部書き換え(意訳し)ています。
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観測直後におこなったLimovieによる最初の処理を このリンク に示します。
(クリックしてご覧ください。)
また、Youtubeの画像の末尾に示したグラフ(図1と同じもの)は、次に述べ
るような処理を行っています。
ビデオカメラ Watec WAT-120N(CCIR) は、1フレームから256フレームまでの
蓄積を行うことができます。出力フレームレートは1秒間に25フレームのPAL方式
に一致しており、出力信号はテレビ、ビデオカセットレコーダやPCテレビカード
およびKIWIOSD において正しく動作します。
この観測では、私は32フレーム蓄積にセットしました。
Limovieの生データのグラフでは、全てのフレームが表示されています。このグラフ
では、ほぼ同じ値が32フレームずつ続いているのが見えます。32フレームの画像は
同じ値を示すはずですが、テープによるノイズにより、多少ばらついています。
図1のライトカーブを得るのに際し、より確実に冥王星と目標星を追尾するために、
私はLimovieのLinked Tracking機能を用いました。それは特に恒星が完全に
掩蔽された状態で冥王星の値を正確に読み取るのに効果的でした。
そして、Exelを用いて、それぞれの32フレームを識別し、32フレームの同一画像
ごとの平均を計算したものをグラフとしてプロットしました。
図1のライトカーブを得るために、私は前段落で説明した測定を繰り返し、そして、
空の状況に起因する主観的な読み取りを避けるために、比較星の測定値も加えました。
図2は、Dave Heraldのサジェスションに基づいて作成したものです。ライトカー
ブを左右反転させた図を、元の図に重ねたものです。この図から、光の強度値にして
1000と1500付近に小さなふくらみが見られ、それらが左右対称であることがわか
ります。これは、冥王星の大気の密度が変化していることを示していると思われます。
DaveGault
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図2 ライトカーブを左右反転させ、元の図と重ねた