「限界線ルートデータ」で観測地の経緯度を求める


1.はじめに

鈴木寿氏が開発した「限界線ルートデータ」は、接食観測の布陣計画を目的として、接食限界線を電子国土の地図上に表示するwebスクリプトです。 それだけでなく、このwebページを用いることにより、観測地の経緯度を精密に求めることができます。 ここでは、星食観測報告ソフトウエアIRiotとの連携により、経緯度のデータを自動的に報告書に入力する方法について述べます。

2.必要なソフトウエア

2009年4月現在、電子国土webシステムには次の2種類があります。
Version 1インターネットエクスプローラ(Ver.6 以降)用
電子国土の全ての機能が利用可能
プラグインのインストールが必要。
Version 2他のブラウザ用
利用できない機能がある。経緯度の取得もその一つ。
プラグインのインストールは必要ない。

ここでは経緯度を得ることが目的ですので、ブラウザにはインターネットエクスプローラ(Ver.6 or 7) (以下IEと略称)を用いることとし、以下のサイトからプラグインをダウンロードしてインストールします。
電子国土プラグイン Ver. 1.3.1

また、IRiotも、「限界線ルートデータ対応」の Ver.1.1.3 を使用してください。

3.「限界線ルートデータ」から経緯度を読み取る

(1) 地形図の表示

IEで、以下のページから地球のアイコンをクリックして2009年の接食限界線ルートデータのページを表示させます。
限界線ルートデータ
次に、下図のように、観測地点が赤い十字で示される中心と一致するように手のひらツールで地図を移動させ、+ボタンで拡大させます。 25000分の1の地図より更に拡大されますが、用途に応じて適度な拡大率としてください。




観測時に、交差点や送電線の鉄塔、建物など、観測地の目印となるものを具体的に調べてくるなどして、観測地点をできるだけ正確に赤い十字線に一致するようにしてください。

(2) IRiotへの経緯度データのコピー

「限界線ルートデータ」の画面の左上に表示されているのが、中心位置の経緯度(WGS84)です。観測報告にはこの値を用います。
経緯度のデータは、その右横にある C ボタンをクリックすることで、クリップボードにコピーされます。
次に、この状態で(あるいはそれ以前でもかまいません。)IRiotを起動させます。 IRiotの「観測地・望遠鏡・観測者」のページを開き、」"限界線ルートより" ボタンをクリックすると、経緯度データが自動的に入力されます。
なお、このときに、IRiotは秒の小数点以下の桁を報告書式に合わせて自動的に丸めます。



4.IRiotの観測地の位置(経緯度)を地図に表示させる

上記とは逆に、IRiotの経緯度のデータを「限界線ルートデータ」に表示させて、観測地の位置を確認することもできます
(1) IRiotの "限界線ルートへ" ボタンをクリック。
(2) 限界線ルートデータの P ボタンをクリック。
(3) 限界線ルートデータの 座標を入力して移動 ボタンをクリック。



謝 辞

静岡県浜松市の鈴木寿氏は、webスクリプト「限界線ルートデータ」を開発され、多くの限界線データと共に公開されておられます。 また、地人書館様には、天文観測年表に掲載されている限界線のデータについて、公開の許可をいただきました。これらの皆様に感謝いたします。