OCCULT Ver.4
OCCULTは、オーストラリアのDave Herald氏が開発した星食予報と整約ができるソフトウエアです。月による星食だけでなく、小惑星による恒星食をはじめ様々な食現象の予報を得ることができます。表記が英語であり、利用しにくい面もありますが、一度設定ができてしまえば、操作する箇所はそんなに多くはありません。たいへん高機能で便利なソフトウエアですので、利用されることをお奨めします。また、報告書作成ソフトウエアIRiotを使う上でも、OCCULTの出力する予報ファイルを利用すると、報告書の作成が簡単で正確になります。
以下に、OCCULTを使って月による掩蔽の予報を得る方法について説明します。
1.ダウンロードとインストール
OCCULT4は、IOTAのWeb Site からダウンロードすることができます。リンク先のページの中程にある、
Setup.exe (XP, Vista以外)または occult4 installer.msi をクリックし、インストールします。XZ80Q星表もこのときインストールされますので、月による掩蔽の予報を得る目的であれば、他の星表や暦などをダウンロードする必要はありません。
2.初期画面
OCCULTを起動すると、下図のような初期画面が現れます。これから主として使うのは Lunar Prediction (月による星食の予報)ですが、その前に、観測地を設定しなければなりません。
3.観測地の設定
まず、自分のメインの観測地の情報を設定します。様々な設定は、メニュー最下段の Maintenance をクリックして現れる画面で行います。
General mainttenance functions (一般設定項目) の、 Edit SITE files (観測地ファイルの編集) ボタンをクリックします。
すると、下図のような Site Editor(観測地設定ツール)が現れますので、 Add new site ボタンをクリックします。
ウインドウ下部が入力可能になりますので、以下のように自分の主な観測地について入力します。
経緯度は、世界測地系(WS84)または、世界測地系に基づいた新しい日本測地系(JGD2000)の値を、例にならって入力してください。Time zone は、9.0です。
ビデオ観測の場合は、11等級近い恒星も観測可能ですので、それらの恒星の予報を得るために、望遠鏡の口径を大きく設定します。一般的には300cmほどに設定しておけばよいでしょう。恒星数を減らすことは、後に述べる予報画面で可能ですので、ここは大きい値にしておくことをお奨めします。
入力が終わったら、 Accept (=OK) ボタンをクリックします。
複数の観測地がある場合は、Add new site ボタンをクリックし、上記を繰り返してください。
こうして、1カ所または複数箇所のデータが入力されたところで、 Save as... ボタンをクリックします。名前は、My.site でも、Japan.site でもかまいません。適当なファイル名で保存してください。
4.予報を得る
初期画面から、ボタンをクリックし、
から、
Predictions for Single sites ボタンをクリックすると、予報画面が現れます。
ここで、観測地ファイル(Site
file)と、観測地を設定します。(この図だと左側の Japan.site
と Tenpyo
no Mori)
設定された観測地は、次回予報画面を開いたときまで保存されます。
更に、 Set UT dates で日時を設定します。そして、Occultations ボタンをクリックすると、予報が表示されます。
ここで、 y-sは現象時刻、Pは現象(D,d:潜入, R,r:出現, dとrは恒星が暗い場合)です。
Star No. ですが、4桁で表示されるのは ロバートソン獣帯カタログの番号、前にXがつくのが星食用のXZ80Q星表、Xがつかずに5桁以上で表示されるのは、SAO星表の番号です。また、CAはカスプ角で、この数字が-(マイナス)のときは、明縁での現象、マイナスがつかないときは暗縁での現象になります。Spは恒星のスペクトル型、Magは恒星の等級(vは眼視等級、rはrフィルターでの等級で、CCDが赤から赤外に感度があることを考慮して示されているものです。) これ以外の項目については、天体観測年表などの資料を参考にしてください。
また、重星については、下記のように表示されます。
これは、「SAO76965は重星であり、伴星Bは主星Aから、位置角350度方向(天の北極方向から東回りに350度の方向)に、0.050秒角離れたところにある。」ということを示しています。このような予報を見つけたら、ぜひ観測をしてみてください。段階的な減光が観測できれば、重星の研究にとってたいへん重要な情報を得ることができます。
5.予報を活用する
この予報は、観測に活用されるだけでなく、報告にも利用することができます。図のように、 with prediction から、 Save とすると、画面に表示されている予報をそのままテキストファイルとして保存することができます。
こうして保存されたファイルは、星食観測報告ソフト IRiot から読み込み、報告書に星表番号や現象などを入力することができます。詳しい方法は、以下のページをご覧ください。