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天平の森天文同好会 星食観測のページ


森林体験交流センター「天平の森」の駐車場を定地点として、星食観測をおこなっています。
「星食」とは、月や惑星、小惑星が、それより遠くにある恒星などの前を通過して隠す現象です。
潜入(星が隠れる瞬間)や出現(再び現れる瞬間)の時刻をビデオに記録する方法で観測してきました。
これまでにおこなった観測について、方法や結果をまとめました。


I have observed the occultations on this site called "Tenpyo-no-mori", the station code of ILOC is "TON91", since 1999.
In this web site, I present the result of observations about various phenomenons.

last updated 30.July 2008


リンク集 星食観測とLimovieについて、参考になるサイトです。
小惑星による恒星食の予報 , 星食のビデオ観測の方法 などについての情報を得ることができます。

新たな重星の発見

Henk J.J.Bulderさん(オランダ)による重星ファイルの紹介と重星観測の薦めです。


AVIファイル光度変化連続測定ソフト Limovie

ガリレオ衛星の相互食の光度(光量)の変化をビデオ画像ファイルから連続して読み出すために作成しました。 比較的拡大率を高くして撮像された画像でも、星像のゆれを追尾し、可能な限り正確な測定を行うようにしてあります。 通常の星食に使うこともできます。
フリーソフトとして、自由にお使い下さい。

Limovie was produced to analyze the data of the occultation observation.
(LIght Measurement tool for Occultation observation , using VIdeo rEcorder).
By using this software , you can measure the luminous intensity change of the star recorded in the frame of video, and can output the file of "Comma Separated Value file" that is read by spreadsheet as Exel.


Oct.2 2007 Limovie 0.9.27 Linked TrackingやTIVI,KIWI-OSDの時刻読み取り機能を加えました。
May.4 2007 Limovie 0.9.25d グラフ表示機能、回折シミュレーション、複数の対象の同時測定などの多くの機能を加えました。

冥王星による恒星の掩蔽
Dave Gault氏(Australia)は、6月22日に起きた冥王星による恒星(2U 25370733 12.4等級)の観測に成功しました。観測の詳細とライトカーブの図を送ってくださいましたので、ご紹介します。[Japanese]

Pluto's occultation on June 22, 2008 observed by Dave Gault
Dave Gault(Australia) observed Pluto-star occultation. At the disappearance and appearance, the light changes very slowly (they have 18 seconds length). It is the effect of atmosphere of Pluto. [English]

OCCULTATION OF UCAC2 25370733 BY 134340 Pluto 2008 June 22 (Reduction by occultation section of RASNZ.)
ニュージーランド王立天文協会の掩蔽セクションによる観測のまとめです。Gaultさんをはじめ7名の方が観測に成功し、掩蔽観測から冥王星の大気についての情報が得られました。


星食観測により発見された重星(sao164647)

石田正行氏(滋賀県守山市)は、星食観測のビデオから、sao164647(7.7等級)が重星であることを新たに発見しました。伴星の明るさは主星より0.5等級暗く、位置角が星食の位置角と同じであると仮定した場合の離角は0.08秒角です。

A new component found from SAO164647 occultation in Apr.30 2008

Masayuki Ishida (Shiga, Japan) found that the sao164647 is double from analyzing occultation video.(in English)

2008年1月2日(UTC)に衛星を持つ小惑星Antiopeによる星食が日本で観測されました。小惑星の本体と衛星による食が観測されたのは史上2例目です。観測者の方々からお寄せいただいたビデオの解析をおこないました。

(90)AntiopeによるTYC1895-01450-1の食の解析

この現象の予報と整約の詳細については、せんだい宇宙館のサイト
小惑星アンティオペとその衛星による恒星食の観測成果
をご覧ください。

ビデオインサータとGPSより得られる時刻(UTCに同期)との関係について調べてみました。

ビデオ録画とタイムインサータの表示時刻

KIWI-OSDタイムスタンプの詳細


月の明部に近いところで起こる星食や、地球照のために暗い星の星食が見えにくい場合などにより正確な測光ができるよう、バックグラウンド領域の形状を工夫してみました。最近の観測/解析もあわせて掲載します。

SAO75671(重星) (071123 唐崎秀芳氏観測)のビデオの解析

GSC6364:280のグレージング(071117 監物邦男氏観測)のビデオの解析

SAO93062(重星) (071123 石田氏,監物氏,宮下観測) のビデオの解析

SAO109530(重星) (071121 石田正行氏観測) のビデオの解析


流れる薄雲などによる影響を除くために、恒星や月面の輝点などを基準に補正を行いました。

SAO189403(グレージング) (071116 石田正行氏観測)のビデオの解析

The shading effect of the cloud can be estimated from the luminous change of the compared star.

Analyzing SAO189403(grazing occultation in Nov.16 2007 observed by M.Ishida>


Linked Tracking (風の影響や、極軸の設定等で恒星や月が画面上を動いてしまうとき、比較星などを基準に位置補正を行い、正確に追尾する機能) を加えました。

SAO98678(重星) (071103 石田正行氏観測)のビデオの解析


星食観測により発見された λ Aquarii(SAO146362) のコンポーネント

監物邦男氏(岡山県総社市)は、星食観測のビデオから、みずがめ座λ星に新たな伴星を発見しました。伴星と考えられる像が淡いことから、LimovieのHFD機能を用いて星像であることを確認しました。

A new component of Lambda Aquarii(SAO146362) found by occultation observation

Kunio Kenmotsu (Okayama, Japan) found a new component of Lambda Aquarii by analyzing a video recorded occultation observation. It is a confirmation using Limovie's HFD function.(in English)

Half Flux Diameter について(in Japanese)

HFDは、Larry WeberとSteve Bradyにより、オートフォーカス用に星像の大きさを表す数値として考案された指数です。
暗い星の星食について、星像の有無の判別への応用の可能性を探ってみました。

Half Flux Diameter (in English)

HFD is a index to indicate the size of star image invented by Larry Weber and Steve Brady. HFD calculating feature of Limovie can be used to detect the faint star in the image of occultation videos.

Eclipse of Iapetus (in English)
Eclipse of Iapetus by Saturn had observed and analyzed using Limovie.

土星の影による土星の衛星イアペトゥスの食をビデオ観測し、光量の変化を調べました。

音声信号を利用した高精度の時刻測定

GPS時計の音声をビデオに入力し、Limovieを使って高精度の時刻測定ができます。タイムインサータが利用できない場合に活用することができます。

3重星 XZ8808, XZ86324 の観測と解析

8.2等、8.4等、9.6等の3個のコンポーネントよりなる3重星の星食の測光と解析をおこないました。
岡山県総社市(監物邦男氏による観測)と、安曇野市天平の森の2地点の観測から、重星の位置角、離角、等級が得られました。

Observation of a Very Small Asteroid. by Tony George.

Tony Georgeさん(Umatila Oregon USA)が"小さな小惑星による食の観測(弦の長さ7km!)"の資料を送ってくださいましたので、ご紹介します。観測結果だけでなく、観測への取り組みもたいへん参考になります。

Aperture径の設定について

Aperture径の設定のしかたについて、考察と検証をおこないました。
This is a consideration and verification of the problem about how to set the "Measurement Aperture" to reduce the noise from the background.

減光量が少なくノイズの多い画像の測定精度の改善

「Aperture径の設定について」の考察を、実際の画像に適用し、測定してみました。
The study of "Aperture size" was applied to the observation, and was confirmed about the accuracy of measurement.

星食における接近した重星の光量変化

接近した重星は、星食によってどの程度まで分離可能かを、シミュレーションで調べてみました。

Limovieによる"未知の土星の環"検出の試み

2006年1月25日から26日にかけての土星によるHIP42705の食を撮影したビデオから、Limovieにより光量測定をおこない、土星の半径の12.5倍の位置にあるといわれる"未知の環"の検出を試みました。

Limovieにより掩蔽の現象時刻を求める方法について

光電測光等による星食の現象時刻は、得られた光度変化曲線(light curve)上で「隠される前の恒星の光度(光量)の25%になった」ときである、とされています。なぜ25%なのでしょうか? そこで、星食と光度曲線について調べてみました。

流星観測ビデオへのLimovieの応用

新たにつくった流星対応のBackground領域を使って、2001年しし群の流星を測定してみました。

測光とバックグラウンド・アパチャーについて

Limovie を用いてビデオ画像の光量測定をおこなう際、バックグラウンドやアパチャーのPixel数をどのように設定したらよいか、について、実験と考察をおこないました。

○小惑星の恒星食のビデオ(辻塚隆氏の観測 2005.6.6UT (59)Elpis による HIP44831(mag7.4) の掩蔽)等の実際の測定について、掲載しました。(Aug.2 2005)
○新たに測定した結果を含め、改訂しました。(Jul.17 2005)

微光天体の星食へのLimovieの応用

ビデオの画面上に微かにしか写っていない星像について、Limovieによる光量測定を補助的に用い、現象時刻の測定をしてみました。
2002年10月13日に観測した、 XZ27317 (9.55等) の星食の時刻測定の方法と結果を示します。

May.3 2003 ガリレオ衛星相互食(ガニメデの影にイオが入る)

2003年5月3日ガリレオ衛星の相互食がありました。95%と減光度が大きく、ビデオでもほとんど星像が見えないくらいになりました。
2年あまり撮影したままになっていたのですが、新たに作成したソフトウエアを使って、光度変化の測定をしてみました。

Mar.31 2005 XZ22374 (αSco Antares)

2005年3月31日(JST)のアンタレス食を観測しました。
明縁潜入もビデオに撮りましたが、月面との区別がつかず測定できませんでしたが、暗縁出現のみの観測で、伴星の出現をとらえることができました。
現象の時刻測定をより確実にするために、ビデオ画像からの光度測定を行いました。

土星食(3月20日)の画像から、 月に隠されていく土星の光度変化 を調べてみました。

Jan.25 2002 XZ6795

最近の観測結果です。この日は比較的明るい星の食がありました。
そのようすをビデオ画像から詳しく見てみました。


暗視野照明装置
ビデオを使うと、30分の1秒の精度で潜入や出現の時刻を測定することができます。
そのためには、正確な時刻信号も同時に記録しなければなりません。
観測が容易にできるようにするために、GPS利用の時計から出力されるLEDの光信号をCCD記録面に効果的に照射する装置を考えてみました。


3月20日PM8:00ころ見られた土星食のようす

天平の森のある長野県中部は、限界線に比較的近いために、土星が隠れ始めてから完全に隠れるまでに時間がかかります。
月の欠け際の複雑な地形の様子とともに、楽しむことができました。

左の画像は、出現の様子です。 撮影者 : 赤堀文彦
撮影地 : 森林体験交流センター「天平の森」観測室
撮影日時 : 2002年3月20日 20h05m49s(JST)
撮影機材 : φ400mm(F6)反射望遠鏡+DV(デジタルビデオ)カメラ
画像をクリックすると、拡大して見ることができます。